昨今話題となっている脱炭素社会・炭素循環社会とは何か、多種多様な方向性がある中で、2名の講師がそれぞれの専門分野から、脱炭素社会へのアプローチについて講演します。参加者の皆さんが、これからの持続可能な社会について理解が深まる機会となるよう、わかりやすい内容でお届けします。
「脱炭素」「カーボンニュートラル」「グリーン・トランスフォーメーション」の違いとその追求において重要となる視点Difference between "decarbonization," "carbon neutrality," and "green transformation" and important viewpoints when pursuing them気候変動が主に人間活動によって引き起こされている事が科学的に結論付けられ、それが人類社会に広く深刻な問題を引き起こす事が認識されるようになったのは比較的最近のことで、その影響の軽減は人類共通の目標となっています。そのためには科学技術の使用が不可欠ですが、そこにかけられる「資金(国家予算等)」や「労力(科学技術者の数等)」は限られています。だからこそ、問題を正しく認識し、その解決の追求において重要となる視点を理解しておくことは本質的に重要で、「労力」は、例えば、量の視点、原理(熱力学)の視点、コストの視点などが挙げられます。講演会ではこれらをなるべく分かりやすく説明します。
再生可能エネルギー拡大のKey技術、世界初、カーボン空気二次電池システムの開発A key technology to expand renewable energy, world's first Carbon/Air Secondary Battery Systemカーボンニュートラルと経済成長が両立する社会“アンビエントエネルギー社会”を目指して、世界初のカーボン空気二次電池システム“CASBシステム(Carbon/Air Secondary Battery System)”の事業化を目指しています。CASBシステムは、伊原、亀田らが提案し、世界で初めて実証に成功した固体酸化物燃料電池/電解セルを用いた新しい蓄電技術です。炭素と酸素との反応で二酸化炭素を生成する反応を利用して充放電するもので、特に小型化の面で圧倒的な優位性が見込めます。大容量蓄電システムとして実用化し、再生可能エネルギー電源からの電力が無駄にならない社会を目指します。また、インテリジェントエネルギーシステム“Ene-Swallow®”事業と連携し、CASBシステムの価値の最大化も目指しています。本講演では、これら技術の特長、技術開発のポイントなどについて、わかりやすく紹介します。

村上 陽一 教授(総合研究院ゼロカーボンエネルギー研究所/Science Tokyo GXI)

伊原 学 教授(物質理工学院応用科学系)